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梨山大禹嶺


 お茶の科学

■陸羽について

お茶の科学 陸羽(733−804年)は、唐代の復州競陵(現在湖北省)に生まれ、

捨て子として拾われ、お寺で育てられたため仏教の影響を受けている。

その後、お寺での生活がいやで脱走し、江南の地の茶生産地域を回り、
世界で最初のお茶の科学書といわれる「茶経」を書いた。

 

 

ほかにも、“茶仙” “茶聖” “茶神”と呼ばれる。

■「茶経」は全3巻10章からなる。

 一之源(茶の起源)
 二之具(製茶道具)
 三之造(製茶方法)
 四之器(茶道具)
 五之煮(茶の煎じ方と水質)
 六之飲(飲茶風俗と科学的な飲茶方法)
 七之事(古代の茶事に関する記載)
 八之出(全国茶葉産と茶葉の優劣)
 九之略(茶摘み道具と飲茶道具)
 十之図(以上の知識を絹の掛け軸にし茶の生産と飲茶を指導)

無題

 ■  ポリフェノールとは

ポリフェノールとは、「フェノール基」と呼ばれる炭素6個が亀の甲羅型に結合した分子に、水酸基(-OH)が1個ついた化合物が2個以上結合(重合=polymerization)したものをいう。

<ポリフェノールの種類>

■フラボノイド類

多くの花など色成分の「アントシアニン類(赤〜紫〜青)」と、淡い黄色から濃黄色までの花などの色成分の「フラボン類(無色〜黄色)」に分けられる。

  • 「カテキン類」:お茶やワインに含まれる
  • 「アントシアニン系色素」:葡萄や茄子や花などの色
  • 「イソフラボン」:大豆に含まれる
  • 「タンニン」柿の渋
  • 「ルチン」そばに含まれる
  • 「ケルセチン」柑橘類、玉葱など多くの植物に含まれる。


  • ■その他のポリフェノール
  • 「クロロゲン酸」:コーヒー豆に含まれるフェノール酸
  • 「セサミン」:胡麻のリグナン
  • 「クルクミン」:カレーの色のウコンの成分
  • その他5,000 種以上あるといわれる。

■  カテキンとは

前述のようにカテキンは、フラボノイド系のポリフェノールの仲間で、化学構造により数十種類に分類される。

お茶の主なカテキンは,

  • (エピカテキン)EC,
  • (エピカテキンガレート)ECg,
  • (エピガロカテキン)EGC,
  • (エピガロカテキンガレート)EGCgの4種で、
  • 「茶カテキン」と呼ばれる。

「緑茶」には、EC,ECg,EGC,EGCgが多く、(EGCg)が全体の約1/2を占める。 日本緑茶のかぶせ茶・玉露などには,特に、EGC,EGCgが多く含まれる。         
烏龍茶は、EC,ECg,EGC,EGCg が極端に少ない。

 「紅茶」には、EC,Ecg も少ないがEGC,EGCg は含まれない。
言い換えると、烏龍茶や紅茶にはカテキン類の含量が少ないということになる。

 烏龍茶や紅茶は、カテキン類が酸化され、カテキンが2個結合した、「テアフラビン」や「テアルビジン」に変化しているためである。この物質が烏龍茶や紅茶の味を左右する。

以前は茶の渋みを”タンニン”と呼ばれていたが、もともとタンニンは、「革をなめす」という意味の英語のtanからきており製革用のなめし剤のこと。お茶の渋みの没食子酸誘導体がタンニン様の性質を持つことからタンニンと呼ばれていた。今でも食品業界では、便宜上タンニンと呼ぶこともあるが、化学分野では、"化学構造の分類名"を優先するため、タンニンは化学構造上の分類名がないため、ほとんど名称は使われていない。

“茶ポリフェノール“が正しい言い方。


■ カテキンとは

お茶の科学 前述のようにカテキンは、フラボノイド系のポリフェノールの仲間で、化学構造により数十種類に分類される。

お茶の主なカテキンは、
 (エピカテキン)EC、
 (エピカテキンガレート)ECg、
 (エピガロカテキン)EGC、
 (エピガロカテキンガレート)EGCg
  の4種で、これらは「茶カテキン」と呼ばれる。

■「緑茶」には、EC、ECg、EGC、EGCgが多く、
 (EGCg)が全体の約1/2を占める。

 ・日本緑茶のかぶせ茶・玉露などには、
  特に、EGC、EGCgが多く含まれる。

■「烏龍茶」は、EC、ECg、EGC、EGCg などの「茶カテキン類」が極端に少ない。

■「紅茶」には、EC、Ecg も少ないがもEGC、EGCg は含まれない。

言い換えると、「カテキン類」は緑茶に多く、烏龍茶や紅茶にはカテキン類の含量が少ないということ。
烏龍茶や紅茶は、カテキン類が酸化され、カテキンが2個結合した、「テアフラビン」や「テアルビジン」に変化しているためである。この物質が烏龍茶や紅茶の味を左右する。

以前は茶の渋みを“タンニン”と呼ばれていたが、もともとタンニンは、「革をなめす」という意味の英語のtanからきており製革用のなめし剤のこと。

お茶の渋みの没食子酸誘導体(ガレート)がタンニン様の性質を持つことからタンニンと呼ばれていた。今でも食品業界では、便宜上タンニンと呼ぶこともあるが、化学分野では、“化学構造の分類名”を優先するため、タンニンは化学構造上の分類名がないため、ほとんど名称は使われていない。

■かぶせ茶の秘密

お茶の科学 ■かぶせ茶とは、
一番茶を摘む予定日の2〜3週間前から、茶樹全体に日光を遮って育てられたお茶の新芽で作られたお茶をいう。

覆いをして育てると、茶葉の緑は濃く鮮かになって、テアニンと呼ばれるアミノ酸(L-グルタミン酸の誘導体)の含量が増える。
この時、カテキン含量は、かえって普通の露天茶の新芽に比べ少ない。

アミノ酸は、新芽の生長に従って減少するが、それを覆いをすることによってある程度抑制するのである。

■テアニン
根で生合成されて、茎を通って新芽に移行し貯えられる。このテアニン(アミノ酸)は、日光があたると次第にカテキンに変化(アミノ酸が減少)していく。

日光をさえぎるとこの変化が抑制され、覆いをした新芽には、露天の新芽よりテアニンが多く含まれる結果となる。

■クロロフィル
クロロフィル量は、茶芽の生育に従って増加するが、覆いをした新芽でつくったお茶は、露天茶に比べ2倍近く多くなり、濃い緑色となる。

このかぶせ茶は、「おおい香」とよばれる特有の香りをもっている。この「おおい香」は、茶芽中のカロチノイドが製茶工程で分解して生成された化合物で、少し青臭く、生海苔のような香りを含んだ独特な香りがする。

この香りがかぶせ茶で作られる「抹茶の香り」の主な特徴である。

■茶葉の小葉種と大葉種
茶葉は小葉種、中葉種、大葉種があり、小葉種と大葉種を比較すると、アミノ酸の含量は小葉種の方が多い。

この点からも緑茶向きの茶樹と烏龍茶向きの茶樹が決められ、結果的に、作られるお茶の種類が決まってくる。
(参考:お茶の科学 山西 貞著書 (株)裳華房)

■お湯の温度と茶のおいしさの密接な関係

◆カフェイン  お湯の温度が高いと溶解度が著しく上昇する。
 特に、60℃と80℃との差が著しい。
 <抽出時間2分間での比較>
  ・60℃の場合 :溶解度40%
  ・80℃の場合 :溶解度約90%

◆カテキン類

カテキン類は低温では他成分より溶出量は少ない。高温でも短時間なら溶出量は
比較的少ない。

<抽出時間2分間での比較>
  ・60℃20%
  ・80℃50%
  ・95℃60%

※浸漬時間が長くなると溶出しやすくなり、95℃浸漬時間4分間では約85%が溶出する。

◆アミノ酸

 アミノ酸は、上級煎茶には約1.6%程度含まれている。
 主なアミノ酸は、テアニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、セリン、アルギニン。
 この5種で全アミノ酸量の90%近くを占める。
 このアミノ酸は、お湯の温度が高いほどよく溶出する。
 しかし、80〜95℃の高温ではかえって減少する。
 これは、アミノ酸と糖にカルポニール反応が起きて褐変物質が生成されるためで、    このアミノ酸は、お湯の温度が高いほどよく茶湯の水色は「褐色」になる。

 ・お湯の温度が高いと2分間の浸出では、テアニンの割合が減少し、
  他のアミノ酸の割合が多くなる傾向にある。
 また、低温であっても浸出時間が長くなると、テアニン溶出量の割合が低くなり、
  他のアミノ酸の割合が高くなる。

 おいしい緑茶を淹れる場合、お湯の温度ばかりでなく浸出時間も考慮する必要がある。
(参考:お茶の科学 山西 貞著書 (株)裳華房)

■おいしいお茶を淹れるためのお湯の温度

お茶の成分とお湯の温度に密接な関係があった。

「カフェイン」は高温で溶出しやすく、「カテキン類」は、低温では他の成分より溶出量が少ない。高温でも短時間なら溶出量は比較的少なかった。特に、お湯の温度は、60℃と80℃での差が大きかった。
高級茶に多い「アミノ酸」は、高温で入れると、アミノ酸と糖が反応して、カルポニール反応(メラノイジン反応=日焼けで黒くなるのと同じ反応)が起きて風味そのものが違ってくる。

■エステル型カテキン(ガレート型)
カテキン類の中でも、緑茶カテキンの50%を占める(EGCg/エピガロカテキンガレート)というエステル型カテキンは、強い苦味と瞬間的なやや刺激的な収斂味があり、味の強さも(EGC/エピガロカテキン)などの遊離型カテキンより3〜4倍強い。

■遊離型カテキン
遊離型カテキンは、渋味は弱く、苦味があり、後味に甘味を感じさせる。

このようにカテキンの種類によっても、お茶の滋味が異なる。上級緑茶と普級緑茶の違いは、このカテキンバランスが違いである。

■カテキンの溶出量
比較すると、EGC(エピガロカテキン)は低温でも溶出されやすい。そのエステル型であるEGCg(エピガロカテキンガレート)の約2倍溶出される。
80℃のお湯では、EGCgも溶出量が著しく多くなり、同程度の溶出量となってしまう。
したがって、緑茶を高温で入れると苦みばかり強くなる。

■緑茶の味のバランス
緑茶の味わいは、それぞれのカテキン類の渋味と、アミノ酸の旨味のバランスできまる。
湯温が高いほど、緑茶そのもののおいしさのバランスが崩れ、渋味だけが強いお茶となる。

これらの成分とお湯の温度の関係から、お茶の種類により、苦渋味と甘旨味のバランスのとれたおいしい味のお茶を淹れるにためには、何度くらいのお湯で何分浸出すればよいか、おおよその目やすがつけられる。

■緑茶は80℃以下で淹れ、烏龍茶や紅茶は、カテキン類が少ないため、テアフラビンの烏龍茶や紅茶独特の滋味を出すために、必ず95℃以上で淹れる必要がある。

■お湯の温度の変化

沸騰水は、100℃と思われているが、鍋にグラグラ沸騰させてもお湯の温度は、100℃にはならない。
特に、緯度が高い地方ではなおさらである。

一般的に沸騰しているお湯は、98℃程度である。
烏龍茶ならその高いお湯の温度を保ちながら、お茶を淹れることがポイント。

デジタル温度計(誤差±1.0)での、温度変化のテストを紹介する。

一般家庭で使用される磁器製の湯飲みと紫砂茶壺でテストした。

■□ 冷えた状態から淹れた場合と沸騰水を注いで速やかに淹れた場合の温度変化
   <温度変化>     沸騰→入れた直後→1分後→1.5分後→2分後

  □ 冷えた磁器製湯飲み  98.6℃→78.0→75.0→74.5→73.2

  □ 暖めた磁器製湯飲み  98.6℃→92.0→87.4→85.8→84.1

  □ 冷えた紫砂茶壺     98.6℃→86.0→80.5→77.7→76.8

  □ お湯を掛けた紫砂茶壺 98.6℃→90.0→82.3→81.6→80.8

烏龍茶を95℃以上で淹れるためには、暖めることが重要だということがわかる。